Xファイル No.10 〜 放射線を一度にあびてしまうこと

■一度にたくさん浴びると? ?急性障害きゅうせいしょうがい/span>?
 皆さんは広島と長崎に落とされた原子爆弾でたくさんの人が亡くなったのを知っていますね? また、現在のウクライナで1986年に起きたチェルノブイリ原子力発電所事故でおおくの人が死にましたし、1999年日本の東海村で起きたJCO事故でも一度にたくさんの放射線をあびた二人が亡くなりました。

 JCO事故で亡くなった大内さんや篠原しのはらさんも被ばくしてすぐには何も変わった様子はみられませんでした。しかし、しばらくたつと髪の毛が抜け、皮膚がむけ落ち、はぐきや胃や腸から出血して血の便がでて、皮下に出血がおきて紫色の斑点はんてん(紫斑しはんという)ができ、細菌さいきんが感染かんせんすると、なおりませんでした。このような症状をしめしておおくの人は1ヵ月から3ヵ月以内に死亡します。これを急性障害きゅうせいしょうがいと言います。他の病気とちがい大量被ばくの場合は、治療してなおるというものではありません。身体全体がくずれてしまい、「確実に死に至る」(英語では”A Certain Death”といいます)と言い表すのがピッタリです。
広島原爆での急性障害の患者(広島平和祈念資料館のHPへ)

 死亡するほどに多くの放射線を浴びなかった場合にも、あびた線量におうじて吐いたり、熱がでたり、下痢をしたりなどさまざまな症状があらわれます。これらの症状は時間がたつと治る人もいます。このような人は外見は普通と変わらないように見えます。が、本人はいつも身体がだるくて疲れやすいため仕事を続けられません。人はその原因を知らないのでなまけているのだと勘違いかんちがいし、 「ぶらぶら病」などと呼びます。そのために一生辛い思いをすることになります。


その上被ばくしてから数年から十数年後にがんになるかもしれません。 上の図の右側の逆三角形で示したように多くの放射線を浴びた人ほど後でがんになりやすいことが分かっています。また、被ばくの影響が子供や孫に伝わることがあり、これを遺伝的影響といいます。このことも被ばく者にとっては大きな悩みになります。

*こちらの記事は"よくわかる原子力" より引用しました http://www.nuketext.org/indexkids.html