野村再生工場 第二夜


ー過去の自分を諦めるとき、生まれ変わることができる

組織の"再生"に最も必要なもの、それは一人ひとりの"意識改革"です。まず、個々の"目標"を明確にさせる。これが出発点です。
私の場合は、一流選手になって苦労をかけた母と兄に恩返しをすることが目標でした。プロ入団4年目、がむしゃらにやった結果でしょうが、ホームラン王が獲れた。ところが翌年、見事に打てなくなりました。血豆の上に血豆を重ねる努力をしましたが、打率は2割5分程度…そんな時先輩がこう言ってくれました。
「野村よ、ぶん殴った方は忘れていても、殴られた方は忘れていないぞ」と。もちろん例えばなしで、打ち込まれたピッチャーの方は忘れていないということでした。目が覚めましたね。単純なことです。そこに相手がいて、攻め方が変わっていた。その変化に気づかなければならなかったのです。当時の私は、カーブに滅法弱かった。ストレートを待っていてカーブが来たらカーブに対応する。そんな器用なバッティングが技術的にできなかった。"目標"である一流選手に、今のままでは到底なれない。どうすればいい?そしてたどり着いた方法が"ID野球"でした。相手のピッチャーが私にどんな球種とコースを投げたのか。データ収穫し、一球ごとに変化する状況を分析することで、狙いを絞って打席に立てるようになり、三冠王も獲ることができました。つまり、それまでの自分のやり方を変えることで、成長することができたのです。
ただ変わるというのはたいへんな勇気がいることです。でも、"勇気を失えば、すべてを失う"という言葉もある。変わることを怖れていては、結果は残せません。選手も、チームも前へ進めない。だから、どうしても変わろうとしない部下がいたらどうするか?私は「諦めろ」と言います。
「諦めが役に立つことが、一つだけある」と。それは、新しくやり直すとき。過去の自分を"諦める"ことで、新しく"生まれ変わる"ことができるんだと。それは私自身が諦めることで新しい一歩を踏み出せたからわかった原理なのです。

過去との決別が自分を変える、新しく生まれ変わるチャンスになることを気づかせる。リーダーたるもの、そのことを知っているかどうかで、一人ひとりに明確な目標を持たせることができるかどうかが違ってくるのではないでしょうか。
目標が明確になれば、どう努力するかが明確になる。"考え方が変われば行動が変わる"とは、そういうことです。そして、それこそが、人材一人ひとりを最大限に活かす適材適所につながるのです。

ープロとは当たり前のことを当たり前にできる人間

プロとは"当たり前"のことを"当たり前"にできる人間のことをいう。そのことも、私が選手一人ひとりに周知徹底させることです。当たり前のこと。すなわちその原点は、目標を設定し、その目標を達成するために何が足りないか、何をしなければならないか常に考え、達成できるまで努力し続けること。だから、先ほどの話が重要になる。
そして、人間として"当たり前"のことができなければいけませんね。挨拶はその基本です。なによりも、人と人との間で成り立つ組織の一員なのですから、"他人があってこその自分"という謙虚な気持ちを忘れてはいけません。
"人間的成長なくして技術的成長はなし"と私は常々言っていますが、組織の一員として何をすべきかを考えられる者でなければ、組織に貢献することはできません。団体競技である以上、for the teamは当たり前。それが一丸となるということなのですから。

ー再生の極意は、よく観察し、"気づき"を与えること

"人間的成長なくして技術的成長なし"と申しましたが、人間の最大の悪は"鈍感"であることだと私は思う。鈍感である以上、その選手は自分が何をすべきかに気づけない。伸び悩んでいる選手は大抵そうなのですが、自分に
満足⇨妥協⇨限定   をしているわけです。まだまだ成長し、活躍できるのに、そこそこの現状に自己満足し、努力に妥協し、これ以上は自分には無理だろうと勝手に可能性を限定してしまう。これでは成長も再生もありえない。
そこで、リーダーが"気づかせる"ことが大切になってくる。再生の極意があるとすれば、それはいかに"気づかせる"かです。選手個々をよく観察し、隠れた才能や長所を見出し、個々に合った言葉ややり方で"気づかせる"。自ら取り組もうとする意欲を引き出すのです。
それこそがモチベーションを高めるということ。リーダーがなすべき使命なのです。

ある回覧記事より、野村監督インタビュー
参考図書:野村再生工場-叱り方、褒め方、教え方より

あーなかなか長い文章はたいへん、コピー紙だから全て手打ち(苦笑)しかもiPhoneフリック入力、、PCだったら両手使えるけどさ…。疲れてしまった(笑)
でも書き留めておきたいし伝えたいんです。

次回最終夜、第三夜です。おやすみなさいzzzZZ