陽はまた昇る

昨日、こちらのニュースを知り、淋しくなった

パナソニックがVHS方式の家庭用ビデオレコーダーの生産を終了したことが10日、分かった。放送のデジタル化やDVDの普及に伴い需要が急減しているためで、流通在庫がなくなり次第、同社製は店頭から姿を消す。VHS方式は昭和52年に発売したが、約35年の歴史に幕を下ろす。
VHSは、松下電器産業(現パナソニック)の子会社だった旧日本ビクターが昭和51年に発売。ソニーのベータ方式と争った末に事実上の世界標準となった。一時はパナソニックだけで年間100万台以上を売り上げ稼ぎ頭として同社の屋台骨を支えた。

☟これを映画化したものが2002'の西田敏行主演、"陽はまた昇る"です

この映画が公開されたとき、実はみるつもりなかったんだけど、えらく感動した男の子が「みなきゃだめだ」といって鑑賞したのがきっかけ。本当に観ておいてよかったと思う。ラストのシーンは感動で涙があふれました。
私の中では日本映画の歴史のひとつとして大切にしたいし、この時代を知らない世代、知っている世代にもある日本の築きとして記憶して頂けたらな、って思います。

わたし自身、派遣社員っていう立場で今や買収された電機メーカーで7年働いていました。
働いていたのはこの映画のあと。わたし自身もいろんな経験を積んだ。
ブログ記事でも紹介したジョッシュさんともこちらで知り合いました。彼はMicrovisionていう会社のエンジニアでしたが、"ものづくりに対するひたむきさや情熱"は日本人のような気質だった。その働きぶりで今は出世してるはずデス。(注意:わたしは受付の仕事してた、そんなアタマよくないし(苦笑)
当時は携帯端末のカメラレンズやら映像技術に世界中の電機メーカーが必至に開発してたときだったけど、携帯を一年くらいですぐ新機種に変える日本では、携帯端末開発はなかなか採算性が難しいものだった。

ジョッシュさんがせっかくシアトルからきたときは、みんなでごはんいこうとゆっても、なかなか仕事が片付かず何度もまちぼうけをくらった。しかもごはんしたって、みんな仕事の話でわたしにはちんぷんかんぷんやった。
でもものづくりってそうやっていいものができるんでしょうね。

一度だけ試作品を見せてもらえる機会があった。当時は守秘義務が課せられたけど、もう時効かな?
すでにもう何年前かに発表されたはずですが、携帯端末でホームシアターを楽しめる技術でした。
試しに"カーズ"っていうディズニー映画を観せてもらったけど、ほんと小さな端末がプロジェクターに化けていた。そして部屋の壁や天井に映像を流します。
クリアで音声もよく、見事に映画だった。しかしこの技術が今出回ってないとなると、何か問題があったんだろうか。
結局、わたしがいたメーカーとは生産のコストの面でジョッシュさんの会社と折り合いが合わず破談になりましたが。破談になったときのためにそれぞれが開発した部分はキレイに持ち帰るそう。一定期間はメールや電話もしないとかなんとか。そんな風に開発してものをつくるんだってこともわかった。

ちょっと話がVHSから飛んでしまった(笑)。でもこの映像をみてるとあのときの想いでがうかぶんです。
だからVictorが創り上げた、VHSの世界規格ってすごい技術と信頼だったとわかるし、ひとつの時代を築き上げた日本の技術の誇りと栄光だともいえる。

実在の高野さんを西田敏行さんが演じていますが、これがよかった。釣りバカのはまちゃんのイメージが強かったから(笑)。ひさびさにスクリーンで拝見した渡辺謙さんもよかった。大柄な身体をくねくねさせながらおとなしく真面目な役を見事に演じてらした。あれからどんどん渡辺謙さんは活躍されてます。

皆さんの心のどこかに、終焉(しゅうえん)を迎えるVHSの過去の栄光がすこしでも残りますように。

*うちのVictor テレビデオのVHS☝もうビデオはみれないけど、SONYのDVDとVHSがみれるデッキがあるので映像をみることはできる。ふるいですよ~(笑)


追記:あらためて映像を何度も何度もみてしまう。そして泣けてくる。

高野さんの言葉
〜夢中でしたね、夢中っていうのはたいへん素晴らしいことだ

高野さんの自宅にある270もの盆栽、これって高野さんの人柄の大きさそのものだと感じてなりませんね。
2-12   22:00