正社員と派遣社員の理想と現実

先月下旬、古巣の職場に一日だけ応援に行った。
私が当時お世話になった社員さんが何人かみえて近況を教えてもらった。
「もうこの事業所も稼動してるのはひとつの生産だけ。それも今や外資系に買収され、しかしそれも近々事業所から撤退する。そうなると、我々もこの事業所にいる必要がなくなるよ。もうあとがないかもしれないなあ…、、」
こんなふうに話していたのは総務部門の53歳と、54歳の管理職。
私は「定年まであと7年ですね。これまで長く働いて来ました、なんとか踏ん張ってくしかないですね」と返した。

これはここだけの話でなく、まさに現実の今の日本。高度成長期からふるってきたある程度の規模の企業や会社では、軒並工場や事業所を閉鎖に追込み、それにより社員をリストラに促している。
こちらの会社、すでに女性事務員は何十人も退職している。その大半は40代をとうに過ぎている。

私がこちらで派遣社員で働いていた頃は、不景気といっても今思えば景気がよかった。これまで派遣でボーナスがあったのはこちらだけだし、派遣は時給制ですが、毎年50円ずつ昇給もあった。
食事会も負担なしで参加した。(社員は会費有)
正直、定時であがれて給料もこのままあがればずっと派遣でもいい♪
なんてあまちゃんなことを本気で思ってた。
しかしリーマンショックで流れが変わった。派遣は昇給はなくなり、やがて雇用もなくなった。

ここでざっくり私の派遣先の正社員と派遣を比較してみましょう
◆正社員
労働組合があり労働環境・雇用が安定している
・ボーナスがある 
・昇給がある
・退職金がある
・転勤や移動がある
・食堂利用料が安い
・休みが多くても月給制
・有給が多い
・組合会費で格安に家族も旅行やイベントに参加、鑑賞券も手に入れられる
・交通費支給
・賃貸ならば半額補助がでる  
・寮に入ると3万円の手当支給
・子供が高校生に進級すると100万円のお祝金が支給される
・駐車場が無料
・無料残業がある
・診療所がある場合、1割負担でいい

派遣社員
・雇用が安定していない
・基本、ボーナスは無い
・ほぼ昇給はない
・交通費は無い、時給に含むが、交通費支給の派遣先もたまにある
・住宅手当、扶養手当などない
・退職金がない
・休みが多いと給料は少ない、時給制
・有給は最低支給分のみ
・食堂利用料が高い
労働基準法では社員と派遣の差別にあたる行為をしてはならないとある  組合長(組合が食堂利用料を決めていた)にお願いしたがダメでした
・駐車場が有料
・転勤や移動はない
・無料残業はない

ただ現在雇用が安定しているのは、大きくても小さくても優良企業だけ。または優秀な社員だけ。
私が考えるに大阪:橋下市長傘下の公務員も安定は保証されないし、全国的にこの動きは拡大するんかな?とも考えられる。ようは公務員でさえ今後は安定はありえないのかもしれない気がする。

そして現実日本の企業は人件費の安い国に拠点を移し、日本の雇用・職場は減少。
リストラだらけの日本は失業者と生活保護者が拡大するのはあきらかです。

私が勤めた派遣先の中で、"リストラしたいができない社員の集まり"の中で感じたことがある。
それはプロ意識があるかないか。
仕事をわざと間をおきながらこなす社員がたくさんいたし、正直スキルもパソコンが使えないかたがた。
派遣は社員の何倍も仕事をこなしながら、やらない社員が何倍もの給料をもらってるのに仕事をこなさないことに不満が続出する。

私がそのとき課長に伝えたのは、"やる気があるがスキルがない"のと、"やる気がないのにスキルもない"のは大きく違うということ。
こちらの社員は後者である、そこを指導して頂きたいと伝えた。
課長は「わかっとる、わかっとるんやが、なかなか社員はなぁ」と首をかしげてた。
ある社員がいった言葉を憶えてる、それは
「とにかく出勤しておれば給料はもらえるんだから」
とよくもまあ、派遣を目の前にひょうひょうと言えたもんだと、情けなかった。
その社員は以前、アメリカで営業をしていた社員だった。女の職場、女の仕事と見下げていたようにも聞こえた。

私がそこの社員全員に言いたかったのは、"這い上がってみせろ"を感じる姿勢、それがかけらもなかった。

次回につづく